ご挨拶

 筑波大学地中海・北アフリカ研究センター(ARENA)は、地中海沿岸の欧州・中東・北アフリカの国々を対象として、地中海・北アフリカ地域が有するユニークで多様な可能性をもとに、わが国と各国との科学技術を有機的に連携させ、文理融合型の総合的研究を推進し、新たな学問領域の構築と当該地域の課題の解決による国際貢献を目的としています。

 ARENAは2004年に筑波大学大学院生命環境科学研究科のもと筑波大学北アフリカ研究センターとして発足しました。2007年4月に分野を広げ、筑波大学の全学(研究)センターとなり、モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプトを中心とした北アフリカ地域との共同研究を進めてきました。2018年には筑波大学地中海・北アフリカ研究センターに名称を改め、ポルトガル、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、トルコ、ヨルダンといった国々を含めた地中海域全般に対象を広げ、さらなる連携強化と共同研究を進めることといたしました。現在、バイオサイエンス分野、材料・エネルギー・環境分野、人文社会科学分野、マネジメント・イノベーション分野の4分野を対象とし、多分野融合型の新教育研究システムを確立し「地中海・北アフリカにおけるイノベーション」の創出にむけた拠点形成に取り組んでいます。

 ARENAはセンター専任教員のほかに、生命環境系、人文社会系、ビジネスサイエンス系、数理物質系、システム情報系、体育系、芸術系、医学医療系、図書館情報メディア系に所属する多数の共同研究員と民間企業の研究者も含む学外の客員研究員の協力のもとで、バイオサイエンス、材料・エネルギー・環境、人文社会科学、マネジメント・イノベーションの 4分野において、北アフリカの地域性を生かした研究開発、学術交流、若手研究者の教育と育成を進め、地中海・北アフリカ圏の学術研究のより一層の発展、高度化のための文理融合型の総合的研究と教育を推進しています。

 これまで、日本学術振興会・二国間交流事業(チュニジア)「チュニジア-日本文化・科学・技術学術会議(TJASSST)」をはじめとして、モロッコ、アルジェリア、エジプト等で国際学術会議を積極的に運営し、学術交流と情報発信に努めてきました。またJST-JICA地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)を通じて、チュニジア・モロッコの産業育成に向けた共同研究を進めています。これまで蓄積された科学的エビデンスを基にした民間企業との産学連携研究にも取り組み、社会実装を目指しています。

 ARENAの活動は、現代社会が抱えるさまざまな地球規模での問題に対する解決策として、欧米先進国との連携学術研究からアフリカやアジアの開発途上国との連携強化の重要性を明確化して、異なる文化・文明間の共生・発展を図るべく日本発の新たな学問の構築をめざすものです。地中海・北アフリカ圏は地理的特性による独自の歴史と文化をもっていますが、現代社会の複雑な国際関係のなかで、社会の安定・経済的発展・若者の教育などに関して、多くの問題も抱えています。すなわちARENAは地中海・北アフリカをテーマとする自然科学と人文社会科学のさまざまな視点から、深い理解と考察に基づく学際的な研究を展開し、これらの問題をより現実的、実践的に解決することにより永続性のある国際貢献に寄与していきます。

2018年4月 礒田博子

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