カテゴリー別アーカイブ: 06 現地レポート

モロッコSATREPSプロジェクト~モロッコ農村の今とアルガン活用術~

本センターが実施しているSATREPS事業の一環として、ハッサンII世農獣医大学(IAV)製品加工技術開発グループでは、現在、生育環境の相異がアルガン成分へ与える影響について分析するため各地域の農家からサンプルとなるアルガンの調達を進めています。近年の健康志向の向上に伴い、モロッコ原産のアルガンが注目され、そのオイルを活用した化粧品等も日本で人気が急上昇中です。しかし、オイルを絞るためのアルガン・アーモンド(仁核)20Kgを取得するために、300Kgのアルガンの実(乾燥したもの)が必要なことをご存知ですか?

Tiznit郊外、峠の上に位置する集落で、伝統的な土壁で作られたアルガン倉庫

集落からの景色

熟して収穫、乾燥させたアルガンの実。白い粒がアルガン・アーモンド

 

 

 

 

アルガンの生息地帯はモロッコ南西部に限定され、実の収穫は点在する小規模農家が中心となります。アトラス山脈の南西地域に位置するため、海岸線ギリギリまで峠や山々が連なり、まだまだ電気・水道の整備がやっとという地域が多く残ります。

アルガンの地元では、収穫した実を乾燥させ、女性たちが手作業で実を剥ぎ、石で殻を割り、残ったアルガン・アーモンドを都市部にあるオイル加工業者へ販売しますが、残った殻は、伝統的に建設資材や家庭用燃料として利用しています。例えば、日本では寺社や旧家の入り口等のたたきに利用される砂利舗装を見かけますが、アルガン生息地の農家は入り口や中庭のたたきに、補強目的でアルガンの殻を敷き詰めコンクリートで固めます。

日本の砂利舗装

モロッコのアルガン殻を利用した農家入り口のたたき

またこれら農家では、料理用ガス台のある家でも庭先に伝統的なかまどが設置され、料理に活用されますが、その燃料として木炭と共に火力が強く、燃焼時間も長いアルガンの殻が利用されています。

現在プロジェクトでは、日本企業とも連携し、搾油するアルガン・アーモンドのみならず、アーモンドを包む強固な殻など、副産物の付加価値化にも着目し、その成分分析や、現段階では主に化粧品等への活用方法を研究しています。しかし、本プロジェクト実施を契機として副産物の伝統的活用法にヒントを得た研究が進めば、現在、殆ど廃棄されるアルガン副産物も、将来的には意外な有効活用法が生まれるかもしれません。農村開発の起爆剤としての役割が期待されます。

ヨルダンにて

 当センター上山助教がヨルダンの銀行を訪問しました。
イスラム歴の新年を迎え、銀行ではお祝いのお菓子が配られたそうです。
配る、とは言い難いずっしりとした1kg超のアラブ菓子の詰め合わせです。
なんとも豪華です。

ASIP「アフリカ・アジア・南米 留学体験談ーモロッコ・中国・ペルー篇」開催のお知らせ

20151204_ASIP留学体験談sss

ポスターのダウンロードはこちら


ASIP(地域研究イノベーション学位プログラムでは「アフリカ・アジア・南米 留学体験談ーモロッコ・中国・ペルー篇」を開催することとなりました。


アフリカ・アジア・南米 留学体験談ーモロッコ・中国・ペルー篇
【日時】12月4日(金)15:15〜16:30 入退室自由
【場所】スチューデント・コモンズ
【対象】どなたでも参加できます
【内容】交換留学を体験した3名の学類生が、留学準備、留学中の様子、留学成果について語ってくれます。
[モロッコ]アル=アハワイン大学 交換留学体験談
[中国]北京大学 交換留学体験談
[ペルー]カトリカ大学 交換留学体験談


ASIP(地域研究イノベーション学位プログラム)は、アフリカ・アジア・南米のエキスパートになることを目指す現地留学と修士課程進学を必須とした教育プログラムです。今回の体験談ではASIP対象15カ国の中から3カ国を取り上げ、留学準備、留学中の様子、留学の成果などについて、交換留学を経験した3名の学生に語って頂きます。詳細はASIPのHPをご覧ください。

【連絡先】
「地域研究イノベーション学位プログラム」事務局
TEL 029-853-2946/3845
Eメール asip-office(アットマーク)ml.cc.tsukuba.ac.jp
*(アットマーク)を@に変えてください。

【2015 FSPMC 現地レポート】モロッココースを終えて

北アフリカ研究センター/人文社会系の岩崎真紀助教から現地レポートが届きました。


フルサ・サイーダプログラムモロッココースを終えて
“Fursa Saida” Program has been finished with a full of joy of participants and coordinators

2015年8月11日 カナダ・モントリオールより
2015年7月5日に始まったフルサ・サイーダプログラム(FSP)モロッココースが8月4日、無事修了しました。6名の参加生たちは7月5日に20時間以上をかけてモロッコの首都ラバトの空港に到着しました。出迎えには、北アフリカ研究センター客員共同研究員兼チュニスオフィスアドバイザー教員のMoncef Harrabiチュニジア国立農業研究所(INAT)元所長がチュニジアから駆けつけ、車で3時間かかるイフレンまで同行してくださいました。

airport

イスタンブール空港の搭乗ゲートに集まるウムラ帰りの巡礼者(右手の白い衣服の人々)
写真はすべて岩崎撮影, 2015/7/24

わたしがAUIを訪問したのは、それから20日間が過ぎ、FSP生が期末試験を受け、修了証を受け取った日でした。成田からイスタンブールを経由し、カサブランカ空港に到着するまではよかったのですが、ウムラ(イスラームにおけるマッカ小巡礼。巡礼者は自分の国の旅行代理店などに申込み、マッカへは団体で行くことが多い)帰りの人々でごった返していたうえ、多くの搭乗客の預け荷物が長時間出てきませんでした。

member

AUIでの研修を終え, タンジェに発つ直前のFSP生たちとAUI側コーディネータのおひとりブーナジュマ教授, 2015/7/25

ロストラゲージの手続きをしようとした矢先に自分のスーツケースが出て来たときには、到着予定時間を2-3時間過ぎていました。
そこから3時間以上かけてイフレンに到着したときにはかなり疲れていましたが、晴れ晴れとした様子のFSP生と会ったときには、このプログラムを開催して本当によかったという充実感にかわりました。彼らの姿からは、この1か月がいかに実り多いものだったかが十分に伝わってきました。

map

モロッコ地図 http://www.kaze-travel.co.jp/morocco_tenjo014.html, 2015/8/11閲覧。

研修先のアル=アハワイン大学(AUI)でのFSP生の生活の様子は、参加生の高倉駿さん(比較文化学類3年)や草山亮さん(国際学類1年)、嶋村安祐美さん(教育学類4年)からの現地レポートにもありますが、密度の高い授業やマラケシュなど遠隔地へのエクスカーションも含む、さまざまなアクティビティからなっており参加生はみな、とても楽しんだとのことです。課外活動でスポーツも堪能できたことは、岩佐直斗さん(社会学類3年)からのレポートからもよく分かります。

woman

工房で働く女性職人, 2015/7/25

cat

青を中心とした色使いが美しいフェズの陶器 2015/7/25

7月25日から8月3日まではタンジェでのホームスティとニューイングランド大学でのアラビア語研修でしたが、これは、AUIが筑波大生のために特別に設けてくださった追加プログラムでした。

town

モロッコの京都と言われる古都フェズの皮革染色場, 2015/7/25

tour

カサブランカのハサンⅡ世モスク(アラベスク模様と緑とベージュを基調とした色使いが大変美しいモロッコ最大のモスク。市民の憩いの場でもある), 2015/7/30

FSP生がこの期間にも思い出深い経験ができたことは、岡元侑希さん(社会学類3年)や島倉遼さん(国際学類1年)からの現地レポートでもよく分かるかと思います。

面積が日本の約1.2倍あるモロッコには、イフレンやタンジェ以外にも、フェズ、マラケシュ、カサブランカ、アガディール、ワルザザートといったそれぞれに風合いの異なる都市がたくさんある一方、小さな村々も魅力的です。地中海や大西洋を望む海岸沿いの街、4000m級の山を望む街、遠く沙漠が広がる街、地形や風景の多様さは、他の多くの中東・北アフリカにはない特色です。
また、モロッコでは、伝統工芸の技術が大切に守られており、絵皿やアクセサリーなどのセンスは日本人のそれと重なるところも多いように思われます。AUIでFSP生たちを訪問したあと、わたしはイフレン、フェズ、ラバト、カサブランカ、アガディール、ティズニットをめぐりました。とくにアガディールとティズニットでは、北アフリカ研究センターが進めているアルガン(モロッコの南部にのみ自生する、オリーブに似た樹木。搾油は伝統的に女性たちが行なう。オイルは、大量の実からほんのわずかしか採れないこともあり、高価。食用、美容ともに用いられ、高血圧や紫外線予防に効くと言われる)にかかわる研究のパイロット調査として、カウンターパートであるハサンⅡ世農獣医大学の研究者の方々と協力して、アルガンオイル精製女性協同組合を訪問しました。イスラーム的伝統と調和しながら女性の社会参加を進めているいくつもの女性協同組合とそこで働く人々の姿は、「持続可能な開発」や「女性のエンパワーメント」といったスローガンだけになりがちな言葉を、本当の意味で模索していると感じました。モロッコの調査のあとは、自身の調査のためにカナダのモントリオールに滞在し、現地のコプト正教会移民共同体のフィールドワークを行なっています。

beach

南部アガディールはビーチリゾートである一方アルガンの産地, 2015/7/28

forest

ハッサンⅡ世農獣医大学アガディール校のアルガン圃場(アルガンはオリーブよりさらに過酷な自然状況でも実をつけることができる), 2015/7/29

2015年8月11日現在、FSP生は全員無事日本に帰国し、イフレンよりもずっと暑い日本での生活に戻っております。

stone

伝統的なアルガンオイル搾油器具を表紙とした、女性協同組合のパンフレット, 2015/7/29

bottle

アガディールのさらに南部ティズニットのアルガン油精製女性協同組合に展示されているアルガンオイル美容製品, 2015/7/29

中東・北アフリカに関しては、メディアを通じて、衝突や社会不安等マイナスなイメージばかりが流布していますが、今回FSPに参加し、モロッコでの生活を体験した6名の筑波大生たちは、現地のリアリティを実際に肌で感じることができたと思います。この経験は彼らの中東・北アフリカ観を大きく変えるだけでなく、彼らが自分の経験を友人や家族や先生方に話していくことで、その人たちの理解も変えていくことになると思います。そして、それは、とても小さな草野の根の変化かもしれませんが、偏見のない異文化理解や、もっといえば、平和に通じる着実な一歩であると確信しています。
今回のプログラムでは、AUIの関係者の皆様、ホームスティ先の皆様、駐日モロッコ大使はじめ館員の皆様には本当にお世話になりました。この場を借りて、北アフリカ研究センター一同、心よりお礼申し上げます。


 

We really appreciate all the people in Morocco who supported Fursa Saida Program, especially, Prof. Mohamed Bounajma and professors of ARANAS, Ms. Amy Fishburn, Ms. Khadija Ben Mansour and Mr. Othmane Atif, AUI, Prof. Moncef Harrabi, ex-INAT Director, Tunisia, Ms. Fat hiya, Mr. Mustafa and all the members of the host family in Tangier, H.E. Dr. Samir Arrour and Dr. Abdel Kader Jamoussi, the Embassy of Morocco in Japan. Thank you so much for your great caring for our students to make their staying so fruitful. Their great experience will lead a right understanding of the culture and people in Morocco and MENA region and we are sure it will also lead a world peace even though this step is just a small one.

We also appreciate those who supported our fieldwork in Morocco, Prof. Majid Benabdullah and Mr. Ilyass Arrahmouni, IAV Hassan II, Mr. Amenmoud, ANDZOA, Ms. Fatima and Ms. Jamila, UCFA, Ms. Hannan, GIE. We look forward to further cooperation with you all and again,thank you so much for your kindness for ARENA and the University of Tsukuba.

Tuesday, August 11, 2015

Maki Iwasaki

Fursa Saida Program Morocco Course Coordinator,

Assistant Professor, ARENA

【FSPモロッココース現地レポート】ARANASプログラム

フルサ・サイーダプログラム(モロッココース)参加生の教育学類4年・嶋村安祐美さんから、現地レポートが届きました。


2015年 8月 4日 イフレンより
フルサ・サイーダプログラムももう終わりを迎えてしまいます。アルアハワイン大学でのARANASプログラムもタンジェでのホームステイも終了し、いよいよ明日が帰国日です。今回は、わたしたちが参加したARANASプログラムについて書きたいと思います。
さて、ARANASとは(Arabic and North African Studies Program)の略称であり、アルアハワイン大学のアラビア語夏季研修という位置づけです。期間は5つ用意されていまして、わたしたち筑波大生は一番短い一か月を一週間遅刻する形での参加となりました。
レベルはBeginning 1, 2とIntermediate 1, 2とAdvance 1, 2の計6つにわかれていて、わたしはIntermediate 1のクラスに入りました。このクラスは学生の人数が少なく、イタリア人1名、アメリカ人2名、わたしの4人のクラスでした。先生は2人でしたので、大変充実した授業を受けることができました。

IMG_3231

授業をした教室のあるアルアハワイン大学の図書館
2015年8月4日筆者撮影

授業は朝8:30-13:30で、途中休憩が10:30-11:00にあって、お茶やお菓子を用意した部屋でのBreak Timeは他のクラスの学生や先生とのおしゃべりができ、とても楽しかったです。曜日によっては、途中からカリグラフィーや音楽等の授業がありました。また、筑波大生は一週間遅れた分の補講を受けることができ、はじめは全然ついていけなかった授業にも、最終的には授業がわかる状態にまでなれました。
また、ARANASプログラムにはモロッコ観光も含まれており、1週目の週末にはマラケシュへ行きました。私たちが参加していない時期には、タンジェやフェス等の都市の観光をしたようです。

Intermediate 1の期末試験は、ライティング(500語)、プレゼンテーション(10分以上)、ペーパーテストの3種がありました。特にライティングとプレゼンテーションはあまりやったことがなかったので、とても大変でした。終わった今となっては、達成感もありますし、何よりも自信がとってもつきました!
帰国をしても、今回の研修で培ったアラビア語の感覚を忘れないように頑張りたいと思います。

教育学類 嶋村安祐美

【FSPモロッココース現地レポート】ホームステイ先でのもてなし

フルサ・サイーダプログラム(モロッココース)参加生の社会学類1年・岡元 侑希さんから、現地レポートが届きました。


2015年8月2日 タンジェより
3週間のAUIでのアラビア語研修を終え、AUIのあるイフレンからホームステイ先のタンジェに小型バスで7時間かけて移動しました。(現地時間7/25)
ホームステイ先のタンジェはスペインまで14キロと地中海に非常に近い位置にあり、散策や海水浴でビーチをホストファミリーに案内してもらいました。タンジェは今回のFSPMCで訪れたイフレン、マラケシュにつづき3都市目でしたが、どの都市もそれぞれの特徴があり、非常に素晴らしい都市でした。なかでもタンジェは個人的にいい思い出が残る都市になりました。

ビーチでの海水浴

ビーチでの海水浴

誕生日での様子

誕生日での様子

ホームステイ5日目(現地時間:7/29)は私の誕生日と重なったこともあり、FSPMC参加生やホストファミリーが一緒になって祝ってくれました。サプライズや伝統衣装をプレゼントして貰えたりとさすがは海外の誕生日と思い知らされることもあり、非常に印象深い経験をさせていただきました。海外で誕生日を祝って貰えるという貴重な体験ができた私は本当に幸せだと感じました。
モロッコの滞在も残すところあと僅かとなりましたが、少しでも日本では経験できないことが多く経験できたらと思います。

社会学類 岡元 侑希

【FSPモロッココース現地レポート】タンジェでのホームステイ

フルサ・サイーダプログラム(モロッココース)参加生の国際総合学類1年・島倉遼さんから、現地レポートが届きました。


2015年8月2日 タンジェより
7月25日(土曜日)からモロッコ北部のタンジェという都市にてホームステイをさせていただいています。ホストファミリーの家族は母親と双子の子どもの3人ですが、その親戚の方もたくさんいらっしゃって、FSPMC生も含めると最大で15、6人程になることもあるなど、とても賑やかな雰囲気です。

休日にホストファミリーの方と一緒に昼食を食べる様子

休日にホストファミリーの方と一緒に昼食を食べる様子
2015/8/1 筆者撮影

ホームステイ期間中はタンジェ市内のニューイングランド大学での授業に加え、休日にはホストファミリーの方と旧市街や博物館に行くなど様々な活動を行っています。また、このホームステイはイスラム教徒(ムスリム)の方々の考え方や価値観を理解するための格好の場所です。1日5回の礼拝や礼拝の時間を告げるアザーンという放送、スカーフを巻いた女性の方など、異文化を感じる毎日です。特にスカーフに関してはムスリムであっても着けていない女性の方もたくさんいらっしゃり、イスラム=女性に対して抑圧的な宗教、というイメージが正しくないことを実感します。(イスラム教の聖典『クルアーン』にはスカーフを着けよといった明文の規定は存在せず、着けるかどうかはあくまで個人の自由に委ねられます。また、それに対する罰則規定等もありません。)(参考文献:内藤正典『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』)
このホームステイを通じてモロッコの人たちの温かさや優しさに触れる機会がたくさんあり、自分がどんどんモロッコという国を好きになっていくのを感じます。
滞在期間も残り僅かとなってしまいましたが、残りの時間の中でもたくさんの事を学んでいきたいと思います。

国際総合学類 島倉遼