エジプト・レポート(1)

現在調査のためエジプトに滞在している北アフリカ研究センター(ARENA)所属の岩崎真紀先生から、レポートが届きました。これから数回にわたり、現地レポートをお送りします。

エジプト・レポート(1)2012年7月15日

写真1.カイロ・ダウンタウン (2012/07/17)

7月14日(土)、カイロに到着しました(写真1)。今年は昨年より暑く、ここカイロでも日中はすでに40度を超えています。けれども今日(7月15日)お会いしたカイロ大学理学部のワファ先生を初め、ムスリマの多くは、暑さをものともせずヒジャーブで髪と顔周りを覆っています。

写真2.ロンドンオリンピック体操男子日本代表(2012/07/12)

成田発の飛行機では、期せずして、ロンドンオリンピック体操男子日本代表団と同じ便となりました(写真2)。
わたしは有名な内村選手の顔も知らなかったのですが、機内誌の同選手へのインタビュー記事を読み、そういえば、さっき出国審査で横に並んでいた男性だと気づきました。代表のみなさんは、小柄だけれど上半身ががっしりしているのと、色がとても白いのが印象的でした。代表となるには文字通り血のにじむような努力を払ってきたことと思いますが、仲間同士で談笑する楽しそうな笑顔には、悲壮感はまったく感じられませんでした。メディアやたくさんの人が注目するなかで、高いモチベーションを保ち続けていくには大変な精神力が必要とされることでしょう。機内ではそんなことも考え、彼らがオリンピックでのびのびと活躍できますようにと思いました。

写真3.1月25日革命の中心地タハリール広場(2012/07/16)

昨日(7月14日)は、米国のクリントン国務長官がカイロを訪問し、ムルシー大統領と会談したところ、大勢の群衆が反対デモを行なったと報道されています。こちらでお世話になっているコプト教徒のドライバーによれば、革命の中心地タハリール広場(写真3・4)ではムスリム同胞団とその支持者が集会を開いている一方で、ムルシー大統領や同胞団に反対している人々は別の地域で反ムルシーのデモを行なっているそうです。反ムルシーデモにどれだけのコプトが参加しているかは分かりませんが、ムルシー氏が大統領となったことで、コプトたちがエジプトの未来に大きな不安を抱いているのはたしかです。エジプトの総人口の約10%を占めるコプト・キリスト教徒と多数派のムスリムをいかに共存させていくかは、新政権の大きな課題の一つでしょう。

写真4.タハリール広場近くに描かれたグラフィティ(2012/07/16)

わたしが滞在している中洲地区のザマーレクや、訪問先のカイロ大学は、不穏な様子はまったくありません。革命前と比べて警察の力が弱体化したため、現在のエジプトの治安は、全般的にはあまり良くないと言われていますが、全土でデモや暴動が起こっているわけでは決してなく、多くの地域では、平穏な日常が営まれています。

*写真はいずれも筆者撮影

岩崎 真紀 (筑波大学 北アフリカ研究センター・人文社会系 助教

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