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TJASSST 2019にモロッコSATREPSから19名の研究者が参加しました。

2019年11月29日から12月2日まで、チュニジアのスース市で行われたSATREPSプロジェクト第4回合同調整委員会に合わせ開催されたTJASSST2019に、モロッコから19名のプロジェクト・メンバー及び元メンバーが参加、機能解析5名、製品化技術開発7名、生態系解析2名、バリューチェーン分析2名、合計16名が日頃の研究成果を発表しました。

開会式典では、カディ・アヤド大学(UCA)のAbdellatif HAFIDI教授がモロッコでも第1号となる産学連携協定の締結を報告、ポスター発表部門では同大学機能解析チームの博士課程学生1名、そしてハッサンII世農獣医大学(IAV)生態系機能解析チームの修士課程学生1名と元メンバー1名が優秀賞に輝くなど、モロッコにおけるSATREPSプロジェクトの前進を印象付けました。

TJASSST終了後には日本とチュニジアの高等教育分野の協力の象徴であるボルジュ・セドリア・テクノパークを訪問、チュニジア側研究者との意見交換や施設見学を通じ、本案件が目指す目標への道筋について考察する機会に恵まれました。 大人数のミッションで、予期せぬハプニングもあった約6日間でしたが、チュニジア-日本間の長年培われた知見と努力の成果が、ついに開花時期を迎えたチュニジア。そのチュニジアを間近に見ることで、SATREPS第1フェーズのモロッコ・チームの現在位置を把握し、残り実質1年のプロジェクト期間中に優先して実施すべきことを、UCA・IAV両機関の研究者間、モロッコ側とチュニジア側研究者間、モロッコ側と日本側の研究者間のコミュニケーションを通じて考えた、実り多いミッションとなりました。

産学連携協定締結を発表するHafidi教授
食品・農業部門のセッションで議事進行役を行うZahar教授

こんなハプニングもありました

右:出迎えのバスが小さすぎすし詰め状態でチュニスからスースへ

左:SfaxのENISへ移動中、バスの前輪がパンク、総出で作業を見守りました

『チュニジア-日本 シンポジウム:持続的社会開発のための産学連携』(TJASSST 2019)『エビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究』 第4回合同調整委員会(JCC) チュニジア共和国国立スース大学筑波大学礒田教授に表彰

第15回目の開催となるチュニジア-日本 文化・科学・技術学術会議(TJASSST)は、本年、「持続的社会開発のための産学連携」をテーマとして、「食・農・健康」、「水・環境・社会」、「材料・エネルギー」の幅広い領域の研究者、専門家、政策立案者のための研究領域を超えた学術交流の場として、日本から約50名、モロッコから約20名、チュニジアから約150名、総計200名を超える参加者がスースに集いました。

 TJASSST 2019の開会では、北アフリカにおける筑波大学の長年にわたる学術交流・国際共同研究の促進、チュニジア人研究者の人材育成、研究環境の整備、産学連携促進への貢献を称えて、チュニジア共和国国立スース大学アリ・ムティラウイ学長より筑波大学礒田教授に『チュニジアにおける科学技術向上と国際共同研究への貢献』に対する表彰が行われました。   

本シンポジウムおよびSATREPS合同調整員会(JCC)は多領域にわたる国際共同研究の促進と強化、北アフリカ・地中海沿岸諸国・日本の研究者間の研究成果およびノウハウの共有、国連の持続可能な開発(SDGs)目標の実践的・革新的解決策の提案、アカデミア・産業界との産学連携の促進を目指すものです。TJASSST 2019の開会では、上記SATREPS事業の枠組みにおけるチュニジアおよび本邦企業・研究機関との産学共同研究覚書及び契約の署名を行いました。

開会式の様子

現地メディアでの報道(一部、仏文):          https://www.entreprises-magazine.com/satreps-signature-des-protocoles-daccord-et-conventions-du-projet-de-valorisation-scientifique-des-bio-ressources-en-zones-arides-et-semi-arides-pour-la-creation-dune-nouvel/ https://www.leconomistemaghrebin.com/2019/12/02/quatre-protocoles-daccord-signes-cadre-projet-satreps/        

https://www.espacemanager.com/tjassst-2019-rapprocher-la-recherche-universitaire-de-lindustrie-pour-un-developpement-social.html

https://www.espacemanager.com/tjassst-2019-un-symposium-scientifique-au-coeur-des-priorites-nationales-et-de-la-cooperation-tuniso

参加企業一覧:                           (株)ニュートリションアクト・日本ゼオン株式会社・Saraya Beauté et Santé Co., Ltd.・株式会社ADEKA・Plant Natura・SADIRA社・BOUDJEBEL SA VACPA社・Herbes de Tunisie (Ayachi-Safir) 参加大学・機関一覧: 筑波大学・京都大学・宮崎大学・九州大学・上智大学・東京農工大学・釧路公立大学・富山高等専門学校・東京工科大学・JSPSカイロ事務所・JICA スース大学、スース大学医学部、ボルジュセドリア・バイオテクノロジー・センター、スファックス・バイオテクノロジー・センター、国立乾燥地研究所、スファックス国立エンジニアリングスクール、国立農業学院、ボルジュセドリア・水工学研究所他。

モロッコSATREPS:機能性解析グループ(G1)が国際会議に参加しました。

2019年10月17日、モロッコ東部アトラス山脈越えの要衝、オアシスの街エラシディアで実施された国際学会「1st International Congres of Human Health and Oasis Natural Ressources」(10月16日~18日)に、SATREPSプロジェクト機能性解析グループ(カディ・アヤド大学)が参加しました。同学会はムライ・イスマイル大学科学技術学部(本校はメクネス市)が初めて主催する学会で、ベルギーやフランス、隣国アルジェリアなど、国内外から多数の研究者、民間セクター関係者が参加しました。砂漠のオアシスや高地乾燥地帯の食薬資源の研究・開発、民間セクターでの製品化状況・課題について発表しました。同グループからはリーダーのChemseddoha GADHI教授、Hafida Bouamama教授、そして博士課程学生2名が参加、ポスター発表を中心にプロジェクト成果を発表、出席者から高い関心が寄せられました。 また、同学会に先立ち、10月15日には、農業省農産物付加価値化ワルザザート地域事務所(Regional Office of Valorisation of Agricultural Products in Ouarzazate :ORMVAO)を訪問、同市出身の博士課程学生が研究するサフラン付加価値化について情報収集を行いました。料理などで利用される高価なサフランは一つの小さな花からめしべ僅か3本程度を採取した後、現在、他の部分は廃棄されています。この廃棄される部分にも様々な機能性が認められることから、同グループでは付加価値化を目指した研究を進めています。同事務所が管轄するサフランの里タリウィン市からも若手研究者2名が出席、サフランの生産・加工・規格検査方法・付加価値化研究・関係する民間セクターの現状について意見交換を行いました。今後は収集した情報を元に、タリウィン市の民間企業を訪問、将来的な産学連携研究の立ち上げを目標に関係づくりを進めていく予定です。

国際会議会場
発表するポスターの前でG1参加メンバー

モロッコSATREPS:初の産学連携協定が締結されました。

2019102日、モロッコSATREPSプロジェクトの産学連携協定第1号が、筑波大学、カディ・アヤド大学、アトラス・オリーブ・オイル社(AOO)間で締結されました。チュニジアと比較すると、産学連携による共同研究開発の理解促進・具体化が遅れていたモロッコですが、20165月の案件開始から約2年半、礒田博子研究代表を中心に、地道で粘り強い説明を継続、ついに共同研究の基礎的な枠組みとなるGeneral Agreementの締結に至りました。今後は同枠組みを基盤に、具体的な共同研究課題を決め、筑波大学からの支援を得ながら、3者で共同研究を一歩一歩進めていくことになります。 

本協定締結に際し、AOO社のOthmane AQALLAL社長、Omar AQALLAL会長が来日、筑波大学産学連携本部も訪問し、共同研究の具体的な進め方、関係機関の負担事項等につき説明を受けました。また、滞在中は礒田研究代表、製品化技術開発グループの中嶋光敏教授の案内で、日本企業数社との意見交換も実施されました。今後は日本企業も巻き込んだモロッコでの産学連携促進が期待されています。

アルガンの文化的背景に関する調査実施(モロッコSATREPS・グループ4)

2019年8月末、SATREPSグループ4ではモロッコ南部のアガディール、エッサウィラにおいて、アルガン、オリーブ、その他食用・薬用植物を伴うモロッコの固有文化、習俗の実態を把握するために調査を実施しました。

アルガンはモロッコ南部でしか生育ができず、またその機能性により国際的市場価値の非常に高い生物資源です。その保全と有効利用のために、モロッコではアグダルという伝統的な土地制度を用いて主なアルガン林を国が保有し、その立ち入りと使用を定めています。アグダルの規制は行政区によって多少異なりますが、概ね4月から7月にかけてはアルガン林での収穫や剪定、家畜の放牧が禁止されています。今回訪れた8月は、ちょうど収穫の時期でした。

調査はIAV第4グループのNoureddine Ibnezzyn、Hajar Salamat両氏の協力のもと行われ、アルガンオイル生産を行う7か所の女性協同組合をまわり、アマジグの女性生産者を対象にアルガンやオリーブなどの伝統的使用法や、習俗、習慣などについて聞き取りを行いました。また本調査により、乳児の体を丈夫にするとされるアルガンを用いた民間療法や、様々な祭事食、アルガン樹木への参詣などの伝統習俗について情報を得ることができました。アラブの春以降、原理主義的立場からの批判が強くなり、こうした伝統習俗は急速に失われているといわれており、無形文化を記述、保存することがより一層重要になってきています。そしてまたアルガン生産の文化伝統的背景を調べることで、現地の食薬資源の高付加価値ブランド戦略のシーズとなることが期待されます。今回の協同組合での調査結果をもとに、各村落での詳細な調査を引き続き行う予定です。

また今回訪問した女性協同組合では、アルガンオイル精製の様子も視察しました。アルガンオイル生産はモロッコ南部の農村で働く女性たちの生活向上のための貴重な収入源となっています。国際的にもアルガンオイルの需要が高まっている一方で、各協同組合からは販路確保の困難さについてしばしば言及がありました。インターネットでの海外郵送を行っている組合もありましたが、多くの女性協同組合は需要の大きい市場への販路開拓に課題があるようです。国際見本市参加や直販店舗の設置、ITの活用など、販路拡大についての生産者のマーケティング技術向上の必要性を感じました。今後調査を続ける中で、こうした情報を現地生産者にもたらす事が出来ればと願っております。

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アルガンナッツからアルガンアーモンドを取り出す作業

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アルガンアーモンドを石臼で挽いている様子

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アル・バラカ協同組合の化粧用アルガンオイル

チュニジアで現地企業と覚書(MOU)を締結(SATREPS)

今月、筑波大学は、SATREPS研究成果の社会実装に向けて、チュニジア国ボルジュセドリアバイオテクノロジーセンター(CBBC)、チュニジア企業Herbes de Tunisie Company、そして日本企業の株式会社ニュートリション・アクトと四者共同研究覚書(MOU)を締結しました。これによりチュニジアの生物資源シーズの有効利用に向けた研究が、企業との連携の下に、より一層活発になることが期待されます。

本覚書締結に関しては、SATREPS(JST)のSNSに紹介されたほか、現地JICA事務所でもプレスリリースが行われ、現地メディアが英語、仏語、アラビア語で紹介しました。

SATREPS(JST) SNS

https://www.facebook.com/Friends.of.SATREPS/?__tn__=%2Cd%2CP-R&eid=ARCUXs1b9TvnH3lySLGCLpx1vuf1iNKO9tLBVcdCE6pZl7uWrboq0OVf9ZnOPjvYzTXlEzlNDwhJwhGn

(英文)

https://www.tap.info.tn/en/Portal-Economy/11561427-tunisia-and-japan

(仏文)

https://www.realites.com.tn/2019/06/cooperation-tuniso-japonaise-signature-dun-protocole-daccord-dans-le-cadre-du-projet-satreps/

https://www.tap.info.tn/fr/Portail-Economie/11561281-signature-d-un

https://africanmanager.com/un-partenariat-tuniso-japonais-aux-multiples-debouches/

https://www.webmanagercenter.com/2019/06/19/436175/signature-dun-protocole-daccord-tuniso-japonais-pour-la-valorisation-des-bio-ressources-dans-les-zones-arides/

https://www.leconomistemaghrebin.com/2019/06/20/bio-ressources-accord-tuniso-japonais-valorisation-scientifique/

https://tn24.ween.tn/fr/article/signature-d-un-protocole-d-accord-tuniso-japonais-pour-la-valorisation-des-bio-ressources-dans-les-zones-arides-150583

https://theworldnews.net/tn-news/cooperation-japonaise-signature-d-un-protocole-d-accord-dans-le-cadre-du-projet-satreps

(アラビア語)

https://www.tap.info.tn/ar/%D9%88%D9%8A%D8%A8-%D8%B3%D9%8A%D8%AA-%D8%A5%D9%82%D8%AA%D8%B5%D8%A7%D8%AF-Portal-Economy/11561832-%D8%AA%D9%88%D9%82%D9%8A%D8%B9-%D8%A8%D8%B1%D9%88%D8%AA%D9%88%D9%83%D9%84-%D8%A7%D8%AA%D9%81%D8%A7%D9%82

モロッコSATREPSプロジェクト~モロッコ農村の今とアルガン活用術~

本センターが実施しているSATREPS事業の一環として、ハッサンII世農獣医大学(IAV)製品加工技術開発グループでは、現在、生育環境の相異がアルガン成分へ与える影響について分析するため各地域の農家からサンプルとなるアルガンの調達を進めています。近年の健康志向の向上に伴い、モロッコ原産のアルガンが注目され、そのオイルを活用した化粧品等も日本で人気が急上昇中です。しかし、オイルを絞るためのアルガン・アーモンド(仁核)20Kgを取得するために、300Kgのアルガンの実(乾燥したもの)が必要なことをご存知ですか?

Tiznit郊外、峠の上に位置する集落で、伝統的な土壁で作られたアルガン倉庫

集落からの景色

熟して収穫、乾燥させたアルガンの実。白い粒がアルガン・アーモンド

 

 

 

 

アルガンの生息地帯はモロッコ南西部に限定され、実の収穫は点在する小規模農家が中心となります。アトラス山脈の南西地域に位置するため、海岸線ギリギリまで峠や山々が連なり、まだまだ電気・水道の整備がやっとという地域が多く残ります。

アルガンの地元では、収穫した実を乾燥させ、女性たちが手作業で実を剥ぎ、石で殻を割り、残ったアルガン・アーモンドを都市部にあるオイル加工業者へ販売しますが、残った殻は、伝統的に建設資材や家庭用燃料として利用しています。例えば、日本では寺社や旧家の入り口等のたたきに利用される砂利舗装を見かけますが、アルガン生息地の農家は入り口や中庭のたたきに、補強目的でアルガンの殻を敷き詰めコンクリートで固めます。

日本の砂利舗装

モロッコのアルガン殻を利用した農家入り口のたたき

またこれら農家では、料理用ガス台のある家でも庭先に伝統的なかまどが設置され、料理に活用されますが、その燃料として木炭と共に火力が強く、燃焼時間も長いアルガンの殻が利用されています。

現在プロジェクトでは、日本企業とも連携し、搾油するアルガン・アーモンドのみならず、アーモンドを包む強固な殻など、副産物の付加価値化にも着目し、その成分分析や、現段階では主に化粧品等への活用方法を研究しています。しかし、本プロジェクト実施を契機として副産物の伝統的活用法にヒントを得た研究が進めば、現在、殆ど廃棄されるアルガン副産物も、将来的には意外な有効活用法が生まれるかもしれません。農村開発の起爆剤としての役割が期待されます。