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SATREPS 産学連携共同研究:本邦企業日本ゼオン株式会社がチュニジアの圃場を視察しました

JICA-JST地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)

『エビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究』

研究代表者:礒田博子 筑波大学地中海・北アフリカ研究センター長 /生命環境系教授

相手国代表:

チュニジア共和国高等教育省(ボルジュセドリアバイオテクノロジーセンター、スファックスバイオテクノロジーセンター、スファックス大学国立技術学院、スース大学医学部、国立農業学院、乾燥地研究所)

本プロジェクトでは、チュニジアやモロッコのような乾燥地に多く植生している食薬資源(オリーブ、ローズマリー等の伝承薬効を有する食文化に取り込まれた食資源)が持つ成分や機能の科学的根拠に基づく生物資源開発研究を推進し、機能性食品・化粧品素材をはじめ、高付加価値製品を生み出せるような加工技術、生産力の改善、大学や研究機関と民間企業との産学連携による北アフリカにおける新産業の育成を目指しています。

チュニジアはEUに次ぐ世界的なオリーブオイルの生産地として知られています。本プロジェクトでは、チュニジア産オリーブが含むポリフェノール成分のがん・アレルギー・生活習慣病予防効果等の健康機能について研究してきました。

しかし、チュニジアにおけるオリーブの栽培面積は世界のオリーブ栽培面積の20%に及びますが、 単位面積当たりの収量がスペインなどに比べて非常に低いこと、さらに年ごとの収量が大幅に変動し安定しないことが課題となっています(International Olive Council (COI), Politique Tunisie, 2012, p.1)

2019年4月、チュニジアを訪問した本邦企業日本ゼオン株式会社と筑波大学、チュニジア国立農業学院、民間企業Sadira Agromillora社は、日本ゼオン株式会社のプロヒドロジャスモンがオリーブの収量やポリフェノール値を増やす効果などに関する共同研究を実施しています。本邦企業との産学連携により、チュニジアのオリーブオイル産業が抱える単位面積当たりの収量増加と安定という課題解決に寄与することが期待されています。

モロッコSATREPSプロジェクト、礒田研究代表、中嶋教授による実施促進ミッションが実施されました。

2019年4月30日から5月4日まで、製品化技術開発グループの中嶋光敏教授、及び研究代表の礒田博子教授による現地実施促進ミッションが実施されました。

2019年3月にモロッコ側研究機関であるカディ・アヤド大学(UCA)、ハッサンII世農獣医大学(IAV)へそれぞれ追加機材が導入されたことを踏まえ、製品化技術開発グループの中嶋教授が両機関における機材稼働状況、研究の進捗状況を確認、同時にこれら機材を活用した研究活動の方向性につき、両機関の若手研究員に対し、助言、技術指導が行われました。

一方、モロッコではあまり理解が進んでいない産学連携の促進に関し、連携先候補企業のアトラス・オリーブ・オイル社(AOO)会長宅でのワーキング・ランチを実施、礒田研究代表、中嶋教授、UCAのAbdellatif HAFIDI教授が参加しました。同社の新製品サンプルの機能性解析結果の共有や今後の具体的な共同研究の内容につき活発な協議が行われ、産学連携協定の枠組みを規定する協定が大枠で合意されました。今後は協定の署名手続き、そして具体的な共同計画案の作成が進められる予定です。

SATREPSプロジェクトの実施が初めてとなるモロッコ、開始当初からの日本側研究機関による粘り強い理解促進と働きかけがようやく実を結ぼうとしています。

UCAのSATREPSラボで超臨界液体抽出装置を使った実験へ助言を行う中嶋先生

IAVのSATREPSラボで搾油機を使った実験の意義、方向性について説明する中嶋先生

AOO会長宅で。右から中嶋先生、AOO社長、礒田研究代表、Hafidi教授、AOO会長

モロッコSATREPS若手研究員が活躍中

20165月から開始されたモロッコ初めてのSATREPSプロジェクト、様々な紆余曲折を経て、若手研究員の活動が活発化しています。

2019418日、メクネスで開催されたモロッコ農業国際展(Salon International de l’Agriculture au Maroc : SIAM)では、SATREPS研究機関であるハッサンII世農獣医大学(IAV)の博士課程学生約20名の研究成果を競うコンクールが行われ、製品化技術開発グループのCHAFAI Youssefさんが、直近の本邦研修で得たサボテン・オイル乳化技術にかかる成果を発表、見事2位に輝きました。

同年423日からは製品化技術開発グループSATREPSラボ主任のTarik OUCHBANIさんをリーダーに、同グループと生態系解析グループ、バリューチェーン分析グループの学生による合同フィールド調査を実施、アガディール地方を中心に、アルガンやサボテンの生育環境や現地の農家・組合が直面する課題をヒアリングし、サンプル収集を行いました。また、JICASDGsビジネス支援事業「女性の雇用創出のための アルガンオイル生産・販売ビジネス調査」の現地協力業者サハラ・カクタス社とも意見交換を行いました。アルガンオイルの品質担保に配慮した搾油方法と、搾油量確保と作業効率化を主眼とした現行搾油方法の間で葛藤する現場の生の声に耳を傾け、製品分析・搾油技術開発等においてIAVが担うべき役割について考察しました。

日本は若葉が芽吹く季節ですが、モロッコでもIAVを中心に、SATREPSプロジェクトの実施を通じた若い研究者達の躍動を感じる季節を迎えています。近い将来、モロッコ農業セクターにおいて、農産品の研究・開発を担う人材として活躍することが期待されています。

IAV学長より表彰されるChafaiさん

SIAMで農産品輸出促進を担当する機関の代表と意見交換するOuchbaniさん(左端)とZahar主任教授(左から2番目)

合同フィールド調査でTiznitの農家からヒアリング

サハラ・カクタス社代表との意見交換

JST-JICA SATREPS平成30年度活動報告会の実施

3月27日(水)、筑波大学地中海・北アフリカ研究センター会議室にて「JST-JICA SATREPSエビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究 平成30年度活動報告会」を行いました。報告会では礒田研究代表から、今年度実施されたSATREPS中間評価とそこで提示された課題への対応について報告があり、続いて筑波大学、京都大学、九州大学の各研究グループからの進捗状況の報告がありました。報告会にはJSTの長峰研究主幹、大川主任調査員、JICAの渋谷調査役も参加され、産学連携への取り組みを含めた今年度の各グループの活発な活動および成果を評価され、今後二年間のプロジェクトの方向性に対して前向きなコメントをいただきました。

第一グループからの報告


礒田研究代表による総括

チュニジアSATREPS: 礒田センター長、中嶋教授がチュニジアを訪問しました。

2019年3月19日(火)~23日(土)まで礒田センター長、中嶋教授がチュニジアを訪問しました。
今回の訪問では2019年11月29日~12月1日に開催が決定したチュニジア・日本文化・科学・技術学術会議(TJASSST2019)および2019年度SATREPS合同調整会議について、ホスト研究機関であるスース大学を訪問したほか、スファックス国立エンジニアリングスクール(ENIS)、スファックス・バイオテクノロジーセンター(CBS)、ボルジュセドリア・バイオテクノロジーセンター(CBBC)のメンバーとの研究進捗協議、カルタゴ大学、高等教育省、チュニジア農業漁業連盟(UTAP)の表敬、民間企業Boudjebel VAC PA社との研究進捗協議を行いました。

左から中嶋教授、スース大学Moez KHENISSI副学長、ハラビ教授、Dr. Kefi (CERTE)

スファックス国立エンジニアリングスクール(ENIS)、スファックス・バイオテクノロジーセンター(CBS)との協議。筑波大学博士課程留学生を中心としたチュニジア産オリーブオイルのブランディングのための産地判別技術(地縁技術)開発の進捗を確認。

ENISの研究室を視察

カルタゴ大学を訪問。左から礒田教授、Riadh ABDELTATTAH副学長、Nadia MZOUGHUI AGUIR 副学長、中嶋教授、ハラビ教授

チュニジア高等教育省訪問。左から中嶋教授、礒田教授、Rym SAIED高等教育省研究活用新総局長、ハラビ教授、Samia CHARFI-KADDOUR科学研究総局長(前研究活用総局長)

カスリ元駐日チュニジア大使、農村女性の生活向上を支援しているUTAPおよびアフリカ女性農業者連盟と協議・意見交換を行なった。

デーツ輸出大手BOUJEBEL VACPA社を視察。デーツ製品のバイプロダクトであるデーツシートの有効利⽤に関する共同研究の進捗について協議を行なった。

エジプト国Kafrelsheikh大学 Maged El-Kemary学長がARENAを訪問

2019年3月5日(火)、エジプト国Kafrelsheikh(カフルエルシェイク)大学のProf. Maged El-Kemary学長と在京エジプト大使館のHany A. El-Shemy参事官がARENAを訪問し、礒田センター長、中嶋副センター長、イスラム助教が対応しました。学長は、Kafrelsheikh大学が2006年に新設された大学があるが、科学技術分野で同国トップの大学とのこと、また、新たに創薬センターを設立しており、本学ARENAとの連携に強い意欲を示された。ARENAとしても今後の同大学への訪問など交流を進めていきたい旨、回答した。

H30年度ARENA特別セミナーUtilization of Water and Natural Resources for Sustainable Developmentの開催

2019年3月12日(火)、バングラデシュとチュニジアから電気工学と水管理に関する2名の研究者を招聘し、平成30年度のARENA特別セミナーUtilization of Water and Natural Resources for Sustainable Developmentを筑波大学にて開催いたしました。中嶋光敏教授による開会のあいさつに続き、まずはラジシャヒ大学(バングラデシュ)電気工学研究科のAbu Bakar Md. Ismaili教授により、“Possibility of Solar Energy Harvesting With Silicon Extracted from the Padma River Sand of Bangladesh”と題された講演が行われました。イスマイリ教授は佐賀大学で学位を取得され、日本の研究機関との共同研究を長年行ってこられました。このたびの講演は、本センターのIslam M. Monirul助教との共同研究にも関わるもので、バングラデシュ、パドマ川の砂から高純度のシリカを抽出し、太陽光電池を生成するなど、持続的開発に向けたバングラデシュ独自の資源の有効利用について詳細な説明が行われました。続いてボルジュセドリア・エコパーク、水資源研究技術センター(チュニジア)のMohamed Kefi博士より、“Adoption of Environmental Strategies towards Sustainability in Tunisia”と題した講演が行われました。Kefi博士は筑波大学で学位を取得され、SATREPSなどの本センターのプロジェクトに共同研究者として深く関わられてこられました。また、毎年チュニジアで開催しているTJASSSTにも参加いただいております。講演は世界規模での気候変動や人口増加などによる環境変化のなか、水資源を確保し、また安定的に供給するための国際的な指標、国連のMDGsやそれに続くSDGsの政策について行われました。またチュニジアを事例としてそうした国際的なポリシーがどのように適応されているのかを検討し、最後に国家間の協力や産学連携などこれからの課題を提案されました。本セミナーには本学教員や留学生など28名が参加し、講演の後には参加者から次々と質疑が行われ、講演者との議論が活発に行われました。

講演を行うIsmaili教授

講演を行うKefi博士

質疑応答の様子

講演者及び参加者